◆(八十出泰成君) ことしも余すところ二十日ぐらいになりました。厚生省、通産省などの地に落ちた官僚汚職が連日のように報道され、国民を怒りの渦に巻き込む暗い世相にあって、スポーツ界の二人がさわやかな話題を提供しておりました。自分で自分を褒めてやりたいと涙を流してインタビューを受けていたアトランタオリンピックでの有森さんと、ファンのほとんどがあきらめかけていたリーグ優勝、メークドラマの名ぜりふで奇跡のように引き寄せた指揮官の長嶋監督。人生訓にも似たこの二人の言葉が、ことしの日本新語・流行語大賞に選ばれたそうであります。心から拍手を送ります。だが、この二人の言葉は、目的によっては明暗どちらにも当てはまる意味深い言葉でもあります。
 質問戦もいよいよ最後になりました。文字どおりことしの質問納めであります。しばらくの間おつき合いをお願いするとともに、執行部には心地よい答弁を聞かせていただいてことしの締めくくりにしたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 まず、最初の質問ですが、ベストドレッサー賞についてでありますが、先ほど同僚山田議員の方からもネクタイのコーディネートの評価までありましたが、私の方からも知事、輝くベストドレッサー賞おめでとうございました。御本人もびっくりされたでしょうが、私たちもいろんな意味で驚きました。あなたが積極的に取り入れたカジュアルデーが評価をされたそうでありますが、だれよりも喜んだのが不振にあえいで御苦労されている繊維業界の皆さんだったのではないでしょうか。この受賞を機に繊維石川を全国にアピールできたことは、何よりも喜ばしいことであります。私の筋書きでは、この受賞に対する感謝のメッセージと、繊維石川の飛躍に向けた県当局の支援策を伺う予定でしたが、既に専門家が質問されましたので割愛をさせていただきます。
 次に、厚生行政から海外戦没者慰霊巡拝について伺います。
 厚生省は、昭和五十一年から毎年、さきの大戦で犠牲になり遠い異国の地で眠る戦没者遺族を対象に、旧主要戦域のほか、相手国の事情等で遺骨収集が望めない地域での慰霊のため、遺族による慰霊巡拝を行ってまいりました。本年度は中国東北地区やパラオ諸島、フィリピンなど八地域で実施されているようです。
 先般、本県で参加を希望していた遺族の方から、亡き先夫の眠るパラオ諸島に慰霊巡拝に行きたくて申請をしましたが、厚生省の示す選考基準によると参加ができないと言われて情けなくて困っている。つまり、配偶者であっても再婚している人は対象にならないというわけであります。その人は、最初から再婚したい人はだれもいないんだ。当時の夫を戦争によって失ったからこそ再婚したのだ。それなのに選考基準で対象外になるのは人道的にも許せないことだ。ぜひ体の元気なうちに一度は慰霊巡拝に行きたいとおっしゃるのであります。
 七十四歳になるその人にとって、戦後五十年以上たった今も、この慰霊巡拝に行かないと戦争の傷跡はいえないのではないでしょうか。県厚生部では、厚生省の選考基準をそのままその遺族に伝えたのだと思いますが、余りにも事務的ではないでしょうか。毎年行われているこの慰霊巡拝の参加者は本県からは年間五、六人程度と伺っております。さきの大戦の戦没者を、国に命をささげたという人もいれば、侵略戦争の犠牲になったという人もいます。いずれにしても、当時の大切な大切な人たちが遠い異国の地で眠っているのであります。その大切な人へ慰霊巡拝が再婚しているからといって選考基準から外すことは理不尽この上ないことであります。県としても、遺族の方々の心情をぜひお察しいただいて、厚生省に対して基準の見直しを強く働きかけるよう要望するものであります
 次に、環境行政から、環境保全施策への県民参加について伺います。
 先般八月に出されました石川県環境白書において、環境基本条例の継承、共生、循環、国際の四つの理念を実現するためには、すべての人々や組織がパートナーシップのもとに環境保全のための行動をとっていく必要があるとしているところであります。また、九月に公表された県の新長期構想では、構想の実現に向けての中で県民総参加による施策の推進を掲げているところであります。県では現在、環境基本条例を受けて環境基本計画を策定中でありますが、県民参加という観点で県の新長期構想との整合性をどのようにとっていかれるのか、まず知事にお聞きをいたします。
 また、基本計画の推進に関連して知事は、環境パートナーシップ県民会議を年度内に設置をするとのお考えのようですが、その具体的な活動内容や構成メンバーについてどのようにお考えなのか。さらに、例えば河北潟の水質浄化についても、行政、企業、県民、いろんな人がそれぞれの立場から県民総参加という中で取り組んでいくべき問題でありますが、既に流域住民の中には自主的活動として積極的に浄化対策に取り組んでいる団体もおられます。これらの活動団体についても、環境パートナーシップ県民会議に参加をしていただくことが必要だと思いますが、あわせて環境安全部長にお伺いをしたいと思います。
 次に、水産行政から本県の漁業振興についてお尋ねいたします。
 知事は、さきの代表質問に答えて、ことしの十大ニュースの中に全国豊かな海づくり大会を挙げておられました。天皇・皇后両陛下や衆議院議長などをお迎えし、さらに全国から二万人余の参加者を得て繰り広げ、一大イベントとして成功させたということに対する知事なりの評価だったと思います。しかし、漁業関係者にとっての今回の海づくり大会は、特別な意味を持っていました。一大イベントの成功もさることながら、厳しい漁業経営や後継者不足など低迷する本県の漁業環境を、この大会を通して伝統ある水産石川の名を全国にアピールをし、さまざまな方面から支援をいただきながら業界全体に活気を取り戻す絶好の機会として期待を寄せていたのであります。だからこそ、私たち自身もこの海づくり大会を一過性の祭典に終わらせてはならないと強調してまいったところであります。要はポスト海づくり大会、つまり漁業関係者がさまざまな困難を克服し、生き生きと安心して漁業を営める環境づくりに国や県がどれだけ支援、協力ができるかであると思います。そんな意味を込めて、幾つかお聞きをしたいと思います。
 一つは、本県水産業の活性化にとって極めて重要だと言われています金沢港水産物流センター構想に対する支援策についてでありますが、既にさきの一般質問で同僚の下沢議員から質問がされ、知事も後方支援を約束いただいたということでありますので割愛をしますが、知事御指摘のとおり、中央卸売市場との合意形成は大変難しい課題であります。ぜひ県当局にも合意形成のための汗かきをひとつ要望しておきたい、このように考えるわけであります。
 二つ目は、漁協合併であります。十年後には最終的には一県一漁協を目指すべく、県内の漁協合併がそれぞれ合併研究会、合併推進協議会など地区段階、県段階で協議を重ねていますが、なかなか進んでいないと聞いております。脆弱な県内漁業の生産性向上と競争力強化につなげるため、一日も早く漁協合併を実現しなければなりません。ぜひ県当局が農協合併でとった支援措置を漁協合併にも講ぜられるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 加えて、石川県漁協事業基盤強化基本方針において県の策定した漁協合併地区における市町村を越える地区の実質的調整役を担うとともに、合併漁協と地元市町村との連携強化対策を推進するため漁協合併専任担当者の配置をするなど、おくれている漁協合併推進のために強力な支援体制をとるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 三つ目は、大規模開発行為、とりわけ電源立地に対する事前協議体制の確立についてお伺いいたします。北陸電力は、志賀原発一号機の建設のときもそうでしたが、現在も二号機増設に向けて志賀町や富来町、羽咋市内八漁協など周辺関係漁協との電源立地に対する事前協議や漁業補償などを着々と進めているようでありますが、それはそれで当然のことでありますが、問題にすべきは肝心の県内漁協の指導機関である県漁連に何の相談も協議もないということであります。果たしてこれでよいのでしょうか。万が一、不幸にして放射能漏れ事故が発生した場合、放射能汚染で石川の魚は食えないという風評被害は、単に関係漁協にとどまらず県内全域に広がり、各漁協や関係機関への対応はすべて指導機関たる県漁連が責任を負わなければならないことは、原発銀座と言われるお隣福井県の原発事故で既に実証済みであります。このことから、北陸電力は周辺関係漁協と同様に事前協議や説明を指導機関である県漁連にもすべきであります。ぜひ県当局からこの旨を北陸電力に要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 四点目は、先日も地元紙で報道されていたプレジャーボートについてであります。本年に入って漁船とプレジャーボートの衝突事故や接触事故が多発し、ついに犠牲者が出るに至ったことは御案内のとおりであります。漁業者に言わせれば、怖くてプレジャーボートに近づけないと遠慮しながら航行し操業している始末だそうであります。漁船への操業妨害や禁止されている金沢港湾内周辺での停泊しての釣りは危険きわまりなく、再三にわたって取り締まりを保安庁に要請しているが後を絶たないと聞きます。どこかのマリーナに所属していれば、危険防止のための周知徹底はそれなりに容易でありますが、その多くはどのマリーナにも所属していない、いわゆる不法係留のプレジャーボートだと言われております。以前から不法係留をなくしようと県の河川課では撤去看板の設置、撤去勧告チラシの取りつけなどの対策を講じながら実態調査を行ってきたところでありますが、本年十月で県下全域で実に一千五十一隻もの不法係留のプレジャーボートが存在し、現在もふえ続けていると言います。
 無動力漁船を除く漁船は、すべて漁船原簿に登録をしなければならない漁船法と違って、船舶法は五トン未満のプレジャーボートは登録が必要でないことと、昨今のマリンレジャーブームがこれだけ数がふえる結果になっているのであります。加えて、これらのボートのデータを管理している日本小型船舶検査機構では、守秘義務を盾に決して情報開示をしないと聞きます。これでは、海での秩序を守り漁船とプレジャーボートが共生していくことが不可能であります。このような現象はひとり本県のみならず、全国で今問題になっており、運輸省港湾局、水産庁、建設省河川局で今年度、プレジャーボートの全国実態調査を実施しており、その結果をもとに対策が検討されると伺っております。
 ともかく、危険防止のための取り締まりの強化はもちろん、この機会に法律の改正や県条例の施行も含めて、秩序ある海を守り、漁船とプレジャーボートがトラブルもなく共生できるように国に強く要請するよう求めたいと思いますので、その決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
 最後に、土木行政について伺います。
 一つは、地元のことで申しわけないんですが、内灘町北部地区住宅開発についてであります。去る十一月十九日に内灘町民の悲願でもありました放水路架橋、仮称内灘新橋の起工式が行われ、文字どおり二十一世紀へのかけ橋として出発をさせていただきました。御尽力いただいた国会の先生方や知事を初め県当局、そして先輩、同僚議員の皆さんに、この機会に改めて御礼申し上げたいと思います。大幅な予算獲得など順調な事業推進のためには、これからが大切であります。引き続きの御支援をお願いしたいと思います。
 さて、この放水路架橋の実現も北部地区一千戸の住宅開発がセットの事業であり、住宅開発事業の成功なしに架橋実現の意味がありません。既に開発手法の整理をされ、この十月三十一日に知事認可を得て、十一月十七日に北部地区整理組合が設立をいたしました。この事業で県住宅供給公社として初めての試みである一地権者として組合に参入されているわけでありますが、御案内のように周辺では宇ノ気町の潮見台ニュータウンや津幡町の井上の荘があり、金沢には木越住宅開発もあります。いずれも住環境に配慮をし、低コスト化を図ったり電柱の地中化、高齢化福祉社会に適応したバリアフリー化、インターネットなど高度情報化時代、マルチメディア時代を想定した住宅開発がされているだけに、それ以上の特色ある魅力ある住宅開発が問われているわけであります。一地権者として組合参入をしているというものの、組合員のほとんどが県当局の指導的役割に期待を寄せているのであります。他の地権者との利害という難しい側面があるにせよ、日本海、河北潟、立山連峰、白山連峰など三百六十度のパノラマが眺望できる景観を売り物に、二十一世紀を展望したグレードの高い住宅開発を率先して行って他を引っぱっていただきたいと思います。その決意のほどをお願いをしたいと思います。
 二つ目は、河北潟浄化に対応する水辺公園について伺います。現在、県主導のもと、河北潟周辺一市五町で河北潟の浄化を目指してさまざまな取り組みが行われております。河北潟周辺には、今もごみの不法投棄は相変わらずであります。このままではイタチごっこだと思います。河北潟周辺は道路や周りから見えにくく、要は捨てやすい環境や条件になっている現状が問題なのであります。この際、関係市町と協力をし合って、浄化計画にあわせ周辺土地を可能な限り取得をし、自然を生かした護岸や水辺公園として整備することを勧めたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
 三つ目に、建築廃材の再利用についてお伺いいたします。リサイクル型社会を構築するための産業廃棄物のリサイクルは、鉱業、製造業を中心に積極的に取り組まれ、産業廃棄物の発生量が大幅に減少していると言われております。特にコンクリート片、アスファルト片等の建築廃材が顕著だそうですが、廃棄物処理業者に言わせればまだまだ再利用が少ないと感じているようであります。本県のリサイクル採石の補助事業の、あるいは県単事業での再生利用は一体どれだけ進んでいるのか、市町村の取り組みはどうなのかを具体的にお示しをいただきたいと思います。
 また、農道、林道などを所轄する農林水産部では、ほとんど利用されてないと聞きますが、建築廃材に対する本県各部局では必ずしも意識統一がなされているとは思えないのであります。建築廃材に限らず、再生利用の進んでいない産業廃棄物に対して、限りある資源の有効利用、環境保全のためにも、全部局を挙げて取り組むように強く要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)